ちりめん山椒:はれま | チリメン

お正月も3日となればもはや胃は限界をむかえようとしている。
暴飲暴食により胃はパンパンの状態を維持され続け、その上さらにアルコールが容赦なく流し込まれる。 胃がペタンコになるヒマがないわけだ。 そんな状態だから、どんな料理もおいしいとは感じられなくなり、朝方まで続く宴会にうんざりとする。
朝早く目が覚めて、顔パンパンの頭イタイイタイの、胸ムカムカ状態で突如米を研ぎ始め、炊飯ジャーのスイッチを入れる。 お米が炊ける間に出汁をとり、ワカメと豆腐の入った味噌汁を作る。
そして炊き立てのごはんを茶碗にやや軽めに盛り、熱々の味噌汁をとなりに置く。
ここまでの作業は、まるで夢遊病のうちに行われたかのようにやってのけたわけだが、いざ味噌汁をすすり、ご飯を食べようとすると、体がそれをイヤがるのだ。 作ったのはイイけれど、食べたくない。 重症である。
しかし今日もお昼から酒をガブガブと飲まねばならないわけで、やはり胃に何か少し入れておいたほうが体のためなわけで。 さてどうしようか。
あ、そういや冷蔵庫にチリメン山椒があったな。 ちりめん山椒というのは、ちりめんに山椒を混ぜ込んで、それを醤油で甘辛く味付けしたものである。 帰省のおみやげにといただいたもので、京都東山のはれまというお店が作っている。

ご飯にのせてほうばると、山椒のさっぱりとしたよい香りが充満して、さらにしょうゆ味のチリメンがごはんとよく合うわけである。 これならば少しはご飯を食べることができそうだ。 味噌汁を少しずつすすりながら、ちりめん山椒を乗っけたご飯を口に運ぶ。 そのうち、どうも山椒の風味が酒の残る体にはうれしいということがよくよくわかってきて、山椒の粒だけを選りだして食べてみたりする。

イカンイカン、山椒だけを食べ過ぎた。 これでは単なるチリメンになってしまうではないか。 急いでチリメンだけを食べはじめ、チリメンと山椒のバランスを元通りにする作業に集中する。 こうしてチリメンだけ食べてみると、酒肴にもぴったりだということにも気付く。
そうして早朝の食卓にひとり座り、ネチネチとちりめん山椒をいじくっているうちに、子供が起きた。 今日の朝ごはんはちりめん山椒ごはんですよ。