カッチョイイジョーロ
「う、生まれるー」のだそうな。
オイのヨメではなく、ヨメの知人の陣痛が始まったということで、運転手としてついていくと、のどかな田舎であった。 ナカナカ生まれないそうなので、散歩に出かける。 向こうからおばさんが歩いてくる。
おばさんの手には、レトロでカッチョイイジョーロが。 「こんちはおばちゃん。 そのジョーロ、カッチョヨカですね。」というと、照れる。
「そげん上等のジョーロはどこに売っとらすとですか?」と聞くと、「あーこいは手作りやけん、どこにも売っとらんしぇん。」と言う。 なんでも、亡き旦那さんの手作りなのだとか。 このジョーロを作った旦那さんよりも長生きなのだこのジョーロは。 丈夫である。 欲しい。 その無骨さがたまらんが、さすがに「ちょうだい」なんて言えなかった。