【長崎】あさイチ収録記:クイズとくもり ギョーザの“皮” 新世界【オイ】
春の味覚のコラボ
序章
あれは四月、令和が発表されて間もない時間に銀座をブラブラ歩いて SIX に向かっていた時の事だった。
メールの通知音が鳴ったので確認すると、あさイチのフロデューサーさんよりの問い合わせだった。
なんでも「餃子の皮について調べています」と。
餃子の皮といえば、私がよく調理に用いるお気に入りの食材なので「何なりとご質問どうぞ」と答えていたら、アレヨという間にあさイチ出演の運びとなった。
皮皮ハム
ぷちぐるに掲載している皮レシピの他に「何か新しいものはないですか?」との事だったのでしばらく考えていたところ降りてきたのが皮皮ハム。
やりとりをしながら「まだ試していませんけど、たぶん餃子の皮へ、間に何かをはさみながら積み上げていって焼いたら面白くて美味しいと思いますよ」
と話をしていたものが実体となって現れたというワケ。
何度か試作をくり返した。
当初はまさにピサの斜塔ばりに三十五段ほど積み上げて焼いてみたりもしたが、それだとパリッとした食感が消えてしまう。
だからあの10段構成となった。 単に皮へハムを挟んで焼くだけでは中心部の皮に火の通りが良くなかったのでオイルを塗りながら重ねていく、という手法が生まれた。
最後にチーズを挟んだのは、ビジュアル的に「トロケ」が欲しかったからだ。 しかし、チーズを使うと、どんな料理もそれなりの味になってしまうという懸念もあり、
皮タワーレシピのアレンジ版として、明太子、さんまの蒲焼き缶、きゅうりもみを挟むという和風版や、アンチョビ、オリーブ、イカスミを挟むというイタリアン版なども提案させていただいた。
つまり皮皮〇〇、皮皮〇〇、皮皮〇〇、そして皮、という単位でお好みの食材を挟みこんで焼けば良い。
どうして皮皮と二枚重ねにするのかというと、一枚ではボリュームが出ず、間に挟む食材の味の主張が強くなりすぎてしまう為。
中には放送をご覧になり「これってネタレシピなのでは…」とお思いの方もおられるかもしれない。
だが騙された、と思ってまずは基本のハムとチーズを挟んで焼いてみてもらいたい。
私が「画期的な餃子の皮レシピ」と断言した想いがおわかりいただけるかと思う。
一番上と下の皮はパリッとしていて中心部の皮はしっとり火が通っているという食感のギャップが楽しい。
試作品を食べてもらった方々がよく口にしたのが「塩パンみたい」という感想だった。
我ながらよくできた一品だと思う。
収録
四月下旬、事前収録の為に東京へ向かった。 こういう時に長崎は地理的に都合が良くない。 当日発っては撮影開始時間に間に合わない恐れがあるので前日入りする運びとなる。
でもそうしてアイドル時間ができる分、アチコチ散策ができるというメリットもあるから良し悪しという所か。
撮影場所はおしゃれなキッチンスタジオ。 設備も十分で調理はしやすかった。
使用する食材は先方へお願いする事もできたが、できれば自分で吟味したいのでいつも自ら買い出しに行くことにしている。
そして私は食材の買い出しが心底好きなのだという事を再認識するのだった。
撮影はサクサク進行していったもののなんと、時間が足りずに後日再度不足分を再収録する事に。
次の撮影まで中二日。
一度長崎へ戻る事も考えたが、時間的にも体力的にも能率的にも経済的にもそのまま滞在しておいたほうがどう考えても合理的。 なのでそうした。 つまりちょっと早めの GW を東京で満喫したというワケだ。
二度目の収録は場所を移してのものだった。
こちらも作業しやすい空間で、プロデューサーさんから提示される演出に時折「マジですか」と辟易しながら楽しく無事収録を終えた。
リハーサル
リハーサルが前の日の昼に行われる。 こんな時に長崎は以下同文につき、さらにその前日入りしてNHK近くのホテルに宿をとり、かの松濤を散策したりして楽しく過ごした。
リハーサルはとてもスムーズに進行し、本番当日のイメージがすんなりつかめたので安心だった。
まさかの餃子の皮子ちゃんの登場に皆爆笑、さらにその皮子ちゃんから登場する運びとなった私は当初どんなテンションで持っていけばよいのかつかめずにいたが、「オイさんの思う通りにやっちゃってください♪」というご指示にそうさせていただいた。
当日
四時にアラームをセットしておいた。 アルコールの残留する重たい体にランニングウェアを着込んで猛烈な雨の中一時間走って汗をかきリフレッシュして大いに時間的余裕をもってNHK入りした。
番組内で紹介する料理の下準備をして後は放送開始を待つのみ。
出演者の方々が続々とスタジオ入りしてきてイザ本番。 とくに緊張する事もないのは、日頃NBCあっぷるさんの生放送で鍛えていただいているおかげだろう、感謝。
私の出番は番組冒頭だったので、役目を終えた後はゆっくり番組をスタジオ内で拝見させていただいた。
終盤、視聴者の方より頂戴したFAXの質問に回答しながら放送終了のカウントダウンを迎えてハッピーエンドとなった。
11:00過ぎには解散となり、穏やかな清々しい気持ちを胸にNHKを後にした。
細やかな所まで気を使っていただいたスタジオ関係者の皆様。 温かい目で見守ってくださった共演者の皆様。 そして私を見いだしてくださったプロデューサーさん、本当に心からお礼申し上げます。
後日談
近江 友里恵さんはテレビで見る通りの方で「長崎の餃子はどのような感じですか?」等色々な質問を受け詳しく説明させていただいた。 誠実、という言葉がまさにぴったりでまぶしかった。 料理にもかなりご興味おありな様子。
副島さんはデカイ(笑)。 放送を見てくださった方々から「オイが小さく見えたよ(笑)」や逆に「副島さんとあまり身長変わらないってオイさんって相当デカいんですね」等コメントを頂戴した。
副島さんがデカいのは体だけでなく心もまたしかり。 収録中カンでしまい、撮り直しになった時でも「大丈夫ですよあせらずに!」等お気遣いくださったり、コンビニで会っても「オイさーん!」とお声掛けくださったり。 私が作った料理にすばらしいコメントをつけながらいかにも美味しそうに食べてくださったり。
色んな事を学ばせていただいて感謝しております。