もしかしてあれは・・・
今朝、あまりの寒さに目が覚めた。 「こりゃあ、ストーブ点けとかんと皆起きてこられんな」
灯油を取りに物置へ向かった。 「ふーっ寒寒」
「あれ?」
5時になったばかりなのでまだ外は真っ暗だ。 いくつか星がきらめいているが、その中のひとつがやけにデカくて、近くにある。 ちょうど山の真上に浮かんでいるように見える。 あんな場所に街灯は無いし、微動だにしないことから飛行機でもなさそうだ。
もしかして、ついにこの時が・・・未確認飛行物体なのではなかろうか!
しばらく見守るが、動く気配がまったくない。 もしかすると、こちらを監視しているのかもしれない、とか考えたりして盛り上がり、急いでビデオカメラを取りに行った。 「頼む!消えないでそのまま居ておくれ!」
UFOはそのまま浮かんでいた。 ビデオカメラを三脚にセットし、録画を開始した。 「ふはははは、UFOを見た証を残せたぞ。 これでアクロバティックな動きでもしてくれれば言うことないんだけどな」
ああそういえば、灯油を取るために外へ出たんだった。 ストーブを引っ張り出し、給油し、点火する。 この冬初ストーブの瞬間。 昨日の晩御飯「豚汁」の入った鉄鍋を上に置いて温めなおす。
早起きついでに朝ごはんでも仕込むか。 と、その前にUFOの様子を確認する。
「やっぱ浮かんでいるな。 あのデカさ、まず間違いなく星ではない。」とUFOであることを確信し、こんどは双眼鏡で観察してみた。 なかなかピントが合わせられない。 像がぼやけて尚更UFOのように見えてしまう。
窓を閉め、アジの開きを焼き始めた。 洗濯物が山のようにある。 ああ今日も一日がはじまったんだなあ。 子供たちが起きてくるまでの間が勝負である。 家事に追われ、忙しく動き回るおかげで酒が抜けて一石二鳥。
6時になった。 空が少し明るくなってきた。 さてUFOの様子は・・・「あれ?」
UFOは高度を上げたようだ。 遠のいたせいで、小さくなっている。 ちょっと見た感じ、星のように見える。 と、いうか・・・・・・星そのもののように見える。 もしやあれは北極星?
録画を中止し、早送りで再生してみる。 夜が明けていく中UFOは弧を描きながら空高く飛んでいく・・・まるで星のような動であるというか、星そのものである。 あれは北極星?
ともあれ、ありゃあ、星だ。
UFOなんて、いるわけねぇんだ・・・無念。