ロースカツ6切れで何杯のメシを食えるのか@浜勝
自宅で気持ちよく晩酌しているときのことだった。
ヨメがTVでほんじゃまかの大きいほうを見て一言。 「この人おいしそうに食べるねー。 やっぱりこの体だと量も相当食べるのでしょうな。」 そりゃそうである。 体がデカいのに、ちっとしか食べないわけはない。 だって、人間カスミを食って生きているわけではないのである。 食べたものが血となり肉となっているハズだから、体を見ればその人がどんだけ食うか大体見当はつきそうである。
「オイも昔はよく食べてたのにね。 最近そんなに食べないよね。」 ヨメがこう言う。 んなこたない。 今だって、よく食べているじゃないか。 「ちょ、食いすぎ!」なんてオイに注意するじゃないか。 ヨメのあんたもイイ年なんだから風の発言に少しムカついたオイは、べつにココでがんばらなくてもいいような気がしながらも、絶対オイはよく食う部類の人間の一味であると解釈されたくて、今までの人生を振り返りながら大食い歴を語り始めた。
別によく食うから一体何なのだ?という冷めた考えも思い浮かぶが「前より食う量が減った」という発言にこれほどムキになるということは、やはり食う量が減ったのかもしれない。 いやいやそんな事はない。 ただ大人になっただけである。 ムチャしなくなっただけである。 オイの輝かしい(どこが)食いしん坊歴を書き上げたいところではあるが、長くなりそうなのと、少し恥ずかしいので割愛させていただくが、とにかくヨメと話の決着をつけねばならぬ。
「よーし、何を大量に食うところを見たいのだオマエは」とヨメに言ってみると「いやそんなのちっとも見たくないし」と吐き捨てる。 ちょっと、相手にしろ。 「ともかく、大量に食ってみるからとりあえずなにか言え、お願い」と言うと「じゃーパスタ」と答える。 その回答は、ヨメが今気分的に一番食いたいものを言ったのだ、自分がパスタを食いたいからそう言ったのだという事実をいち早く察知したオイは、その提案を却下した。
カレーの「ココイチ」でも大量に食らってやろうかなとも考えたが、それはヨメに見せたことがある。 それならば、浜勝か。 浜勝はちゃんぽんで有名なリンガーハット株式会社が運営するとんかつ屋さんである。 ご飯とキャベツ、それに味噌汁は、おかわり自由である。 これにしよ。
その日は朝ご飯を少し控えめにしておいて浜勝に向かい、浜勝特撰ロースかつ定食を注文する。 ごはんは麦ごはんで、キャベツはせん切りをお願いする。 味噌汁は赤だしである。 ヨメが何を注文したのかは覚えていない。 さあ、早くロースカツを運んできておくれ。
ロースカツが運ばれくると、即ご飯のおかわりをお願いする。 「何人前お持ちしましょうか?」なんて聞かれるから、まさか10人前お願いしますとも注文しきれずに「一応ふ、二人前お願いします」と伝える。 俺達2人連れだし、自然でしょう。 と気を使っているふりをしているわけだ。
はじめの一杯は定食に元々添付されているご飯である。 これをドレッシングをかけたキャベツだけをおかずにして食べた。 カツには一切手を出してはいない。 まだ先は長いことだし。 ヨメにおかわりをお願いする。
二杯目は、そのたった6切れしかないロースカツの、一番小さいブロックをつまんで半分だけかじり、それだけをおかずに食べた。
三杯目は、赤だしのみをおかずにして完食。 もうご飯がない。 注文ボタンを押して「ご飯二人前お願いします」と店員につたえる。 はじめにご飯をお願いしてからわずか3分程度しか経っていないので、ヨメが少しはずかしがっている。
4杯目は、タレだけで一杯食べた。 そろそろヨメが引きはじめる。 5杯目は、一番小さいブロックの残りで食べた。 またご飯が無くなった。 ボタンを押して、店員を呼ぶ。 「ご飯二人前お願いします」と言うと「かしこまりました。 少々お待ちください」と言いおひつを手に店員はさがる。 が、その瞬間、少し曇った表情を見せたようにオイには感じられた。 そろそろなんだか気の毒になってきてもいた。 大の大人が注文したロースカツにはほとんど手をつけずにご飯を5杯も食べている。 もちろんヨメはドン引きである。
「わかった。 とりあえず浜勝ではもうご飯のおかわりはしません」そうヨメに伝え、残りのおかずを総動員して、2杯のご飯を平らげた。 結局、7杯のご飯を食べて店をでることにした。
浜勝さんに感謝しながら「いやーまだまだ全然足りねえ、腹減ったよオイ。 次はどこに行こうか?」なんて運転しながらヨメにいうと「もうイイってば! 帰るよ!」と一喝。 実際オイも、もうイッパイイッパイだった。 実を言うと、5杯目で腹いっぱい。 最後の2杯は成り行きだった。 もっと食えると思ったんだけどな、やっぱ年かな。
浜勝(音が鳴ります):美味しいからあれだけ食えたのです。
トンカツ:このタレウマイ。