朝帰りで蕎麦
「すごく感じが悪いのがウリ」という客商売の既成概念を根底から 覆すようなバーに行き、その感じの悪いバーテンがやけにおかしくて朝まで 飲んだわけ。
そんな彼からためになる話をひとつ。 安いバーでお客の回転を早くしたいときにはカウンターの幅を狭く45cmぐらいにする。 ラーメン屋や立ち食いソバ屋を考えるとわかるね。 逆に高級バーでは60cm以上の幅をとるわけ。 居心地がよくてゆったり飲めるわけ。 要はカウンターの幅を見るだけで、カクテル一杯の値段がどれぐらいか見当がつくわけ。 ふーん。
「あ、もう7時半か。 帰ろ。」 店を出て、出勤中のサラリーマンの波 とは逆方向に家路に向かう気分はなんちゅうかこう、日陰で生きている人みたいで、ダメ人間みたいでたまにはこういう経験をするのも良いわけだ。(たまにでもないか)
家に着くともう限界で、寝てないから頭イタイわ、なんだかウォッカが歩いた振動で揺さぶられて胃を少し溶かされたような感じだわで、横になりたい。 でも小腹がすいたし、体が毒素まみれになっているようなのでシャワーでなくて、風呂にも入りたい。 よし、ボロボロの体にムチ打って、小腹も満たして風呂にも入ろうではないか。
なんかないかなんかないかと家内を物色してみると、蕎麦を発見。 うん、食いたい食いたい。 大鍋で湯を沸かす。 さてその間に風呂にでも入るか。 風呂の温度はかなり高めに調節し、15分ぐらい半分寝かかりながらつかって、一旦湯船から脱出して冷水シャワーを全身に浴びせかける。 おもわず心臓が止まりそうなショックをうける。 そしてまた熱い湯船へつかる。 これを数回繰り返すわけだ。
そうすると出るわ出るわ汗。 まさに汗が滝のように噴出してくる。 体中の毛穴が開き、体内にたまった不純物というかアルコールというか毒素がにじみ出てくるようなかんじ。 なんかもうすごく気持ちがイイわけ。
汗を流す。 もう干からびるぐらい流す勢いで入浴を終える。 あ、そうそう蕎麦を食おうと湯沸かしてたんだっけな。 蕎麦のことは完璧に忘れていた為、鍋の湯はほとんどなくなり、空焚き寸前だった。 めんどくさがりながら、でも汗をかいたので少々すがすがしい気分でお湯を足す。 蕎麦を茹でる。
さて。 食うか。 あ、薬味ないや。 でもまいっか。 でも、なんだか腹へってないな。 というかなにも口に入れたくないような気がしないでもない。 うーんせっかく蕎麦茹でたんだけど、寝よ。 ガクッ。
とそのまま食卓で寝て、起きた。 あ、蕎麦そのまんまだ。 記念に一枚パチリ。