飲み会の一席
飲みに誘われるのはイイけれど、そんなに急に言われても都合のつけかたというものがある。 ましてや先輩に誘われた場合、お断りするなんていう行動はそもそも選択肢にはないわけで。 そうして10人ばかりの飲み会に 同行したのである。
10人程度がぞろぞろと店内に入る。 座敷にすわる。 さて。 ともかく生だ。 ビールだ。 「えーっと生の人。」 8人が手を上げ、2人はウーロン茶。 ということで生8つちょうだいよ。
店員:「あいにくジョッキを切らしておりまして、8つもジョッキがありません。」
「は? ジョッキ無いてか。 んもうじれったいなふんとにもう。 とんかくビールを飲みたいので、ピッチャー3つよこしてくださいよ。」 とにかく喉が渇いているのである。 入れもんなんてなんでもイイからとにかく一刻も早くよく冷えたビールをくださいよ。
なんて思っているのに、とにかく速攻料理を注文したがるヤツがいるものである。 あとで注文すればよいものを、グジグジあーでもない、こーでもないとメニューとにらめっこしているやつが、奥に3人。 こいつらがまた注文決まらないの。 のどの渇きは怒りに変わりつつあり、「姉ちゃん、あのね、このメニューに載ってる料理全部もってきて。 あと手場先だけは一人2人前ずつでおねがい。」と、勝手に注文してしまう。 カンタンな居酒屋に来てるのに、そんなにつまみを厳選する必要もなかろうに。 全部注文したって頭数で割りゃーなんてことない。 さあ、ビールをもってこい。
そうしたらその3人、こんどは焼酎を注文したがる。 のび太大人版みたいな気の弱そうな外見のそいつが、やけにエラそうに「焼酎何があんの? 麦芋米? んでどれが一番ウマイの? あ、グラス?4個。いや5個。ていうか焼酎飲む人だれ?」なんて聞きやがるし。 「だから生を8つ持ってきてと、注文してるだろうが。 まあ待て、待たれよ。 生飲んでから焼酎頼めばイイじゃないか。 どれがうまいのなんて、好みにもよるだろうがしかし。」と、心の中でそいつに忠告し、リアルに「じゃ、焼酎麦芋米、それぞれ一升瓶3本もってきてちょうだい。 グラス20個に氷とお湯もおねがい。 それよりとにかくビールを持ってきてよ。」と告げる。
ピッチャーが到着。 ささ、と隣近所のグラスに注いだ。 飲むよ。 そうしたら今度は挨拶がどうのこうのとか言い出すヤツがいるぞ。 もう飲んでからでイイじゃないかまったく。
そうしてたまりにたまったうっぷんも加勢して、ビールを一気に5杯ぎゅーっと飲み干す。 新しいピッチャーを手に取り、のび太の横に座る。 そしてのび太に有無を言わさず注ぎに注ぐ。 そうして焼酎セットも用意して、のび太に焼酎の水割りを作りまくる。 のび太は「レモン汁」なるものを持参しており、これを焼酎に数滴たらせば悪酔いしないとかいうので、のび太のグラスにそれをドボドボ入れて、焼酎を注いで飲ませる。 飲ませてばかりじゃあんまりなので、オイもそのレモン汁を数滴入れて、焼酎ロックで飲んでみると、マズい。 こりゃかえって悪酔いするね。
とにかくそのレモン汁を持参した張本人のび太のグラスに焼酎のレモン割りを幾度となく作り、飲ませ、30分で潰した。 おやすみ。 のび太はやはりのび太なのである。