オババ持参の白菜漬け
さて晩酌でもしようかなと刺身を切り、アボカドを盛り・・・。
突如「ゴメンクダサイー」とダミ声が聞こえる。 声の正体は顔を見なくともわかっている。 2軒となりに住むオババなのだ。 まだ19時過ぎだというのに完全にできあがっていて、真っ赤な顔でこういう。
「白菜漬けのできたけん、け。」
「け」とは食えの短縮形である。 オババは白菜を大量に栽培していて、寒くなり白菜がウマくなる頃自家製白菜漬けを持ってきてくれるわけだ。 白菜漬けは明日の朝いただくとしよう。
「せっかくだから少し飲んでいけば?」とオババに焼酎のお湯割りとアジの刺身を差し出す。 テレビでは、カメダの防衛戦があると騒いでいる。 ふーん、見てみようか。
オババは愛用の焼酎ダイゴロウを相当飲んできたらしく饒舌である。 ダイコンは勝手に取ってゆけだの、ネギが必用なときは抜いていけだの明日は雨だから洗濯物は干すなとか。 カメダは見なきゃならんし飲まねばならんしオババの話も聞いてあげなくちゃいけないしで今晩は忙しい。
オババは「ひとり酒」を熱唱しはじめ、TVではカメダの弟が熱唱しはじめた。 今晩の至福のひとときは、おじゃんである。