2匹の蟹

ワタリガニについてイヤなこと があったという話は前に書いた。
甲羅に酒を注ぎこんで、カニミソと具茶混ぜにしてススルというのは2匹カニがあるとき 限定の食べ方であるという話もした。 そして今回、2匹のワタリガニが手に入ったわけだ。
しかしひとつ問題がある。 それは、このワタリガニが小さいということである。 おそらくミソには期待できない。 「カパッ。」ほら、やっぱり。 ミソなんでどこにも入ってないじゃん。 これじゃ熱燗なんで入れてもさ、むなしいじゃん。
ということで、2匹のワタリガニの身だけを味わうことにしたわけであるが、 カニがこうも小さいと、むしるのにイライラしてくる。 いちいちパーツが小さいので、身をとりだすのに手間取るくせに、 その仕事に対する報酬といったら微々たる物。 ほとんど身なんてはいっていない。 なので、むしることをやめた。 しかし食べることはやめていない。 むしらずにどうやってカニを食べるのか? 不思議でしょう。 その方法は、カニの各パーツを指で圧縮し、つぶして、身をニュルニュルと搾り出すわけである。 けっこうでてくるものである。 カニが小さいので、殻が柔らかい。 だからこのようなマネができるわけだが、めんどくさくってこうでもしないと食ってらんない。 そうして指をカニまみれにして、 酒を飲み飲みしたものだから忙しくって、 グラスが汚れてゆっくりと飲めやしなかったという話。