4人の我が子へ500冊以上読み聞かせをしてきた父親が選ぶベスト絵本集全30冊+1
すてきな 三にんぐみ
最後の一冊は子供たちのチョイスではなく私の最愛する絵本。
五歳くらいの頃、たまたま祖母の家で見つけた本で、どうしてここにたった一冊絵本が置いてあったのかはわからない。 孫の誰かのものかもしれないが、祖母に聞いても「知らん」の一言だった。
絵本らしからぬ暗くて怪しげな扉絵。 何気に開いてみると、たちまち三にんぐみのトリコとなってしまった。
巨大で真っ赤なマサカリに、ラッパ型をしたライフル銃。 夜な夜な馬車を襲っては、手に入れたザックザクの財宝を隠れ家へと運ぶ。 ある日、いつものように三人組は馬車を止めたのだがそこにあったものは……。
以来、祖母の家に行く度に、三にんぐみを見るのが楽しみになってしまった。
でもどうして、それほど気に入った絵本ならば、自宅に持って帰ろうとしなかったのだろうか? 祖母に言えば、すぐにくれただろうに。 心の奥底では、気味が悪い絵本だから所有するのはチョット、と思っていたのかもしれない。
巻末にある著者、トミー・アンゲラーの逸話も面白い。 すてきな三にんぐみは、娘のフィービーちゃんに捧げられたものなのだ。
子供たちへの絵本を選びに本屋へ入った際、たまたま三にんぐみを見つけたときは嬉しかった。 手に取らずとも、真紅のマサカリが思い浮かんできた。
絵本のデータ
- 作者:トミー・アンゲラー作 いまえよしとも訳
- 出版社:偕成社
- 発行:1969年12月初版1刷 1977年12月改訂版1刷 1977年11月初版12刷 2004年8月改訂版151刷
子供がこの本を好きなところ
おんなのこにやさしいところ。
総評
我が家には4人の子供がいます。
みんなそれぞれ、絵本が大好きです。
絵本にハズレはありませんが、
我が家にある山のような絵本の中から、
「親父目線」で気に入ったものを掲載しました。
うちの子供たちは長男、長女、次男、次女という構成で、4者4用、それぞれに好みがあります。
我が子が好きな絵本であり、なおかつ私が好きなものをチョイスしたつもりです。
絵本の選び方
大人のあなたが読んでみて面白いと思ったものをお子さんにも勧めてみてください。 面白いに大人も子供もありませんので。
子どもというのは正直なもので、大人のように社会の思惑に合わせて自分の行動を変えるというようなことはしない。
絵本や映画、劇なども、いくらこれは名作だ、価値があると大人たちに言われても、納得しなければ素直におとなしく見てはいない。 見たいものは誰に命令されなくても見るし、興味を惹かれないものには見向きもしない。
「子どもだまし」などと世間では言うが、本当は子どもをだますことなどできないのである。 だまされるのは、むしろ大人のほうであろう(茂木健一郎『それでも脳はたくらむ』より)。