4人の我が子へ500冊以上読み聞かせをしてきた父親が選ぶベスト絵本集全30冊+1
あかいありとくろいあり
赤アリの腕白小僧「ぺっちゃん」は、学校帰りに大きなキャラメルを見つけた。 夢中になってペロペロなめていると、いつの間にか巨大なギャング黒アリに取り囲まれていた。
キャラメルを横取りされたうえに捕らえられてしまったぺっちゃんは泣いてしまう。
ぺっちゃんには一年生の妹「なっちゃん」がいて、この日なっちゃんはお兄ちゃんと一緒に帰りたかったのだ。 でも、ぺっちゃんは意地悪を言って先にトコトコ行ってしまい、そこで見つけたのが、キャラメルだったというわけだ。
家に着いたなっちゃんは、自分よりも先を行ったぺっちゃんが、まだ帰宅していないことを変に思い、お母さんに話した。 するとお母さんはあら大変だと近所の赤アリおじさんに相談し、赤アリおじさんはそら大変だと、仲間の赤アリたちに一大事だと声をかけ、皆でぺっちゃんを探しに出たのだった。
長男が一年生になった時、なんだか心配で家を出た後もちゃんと学校にたどり着けるのだろうかと、陰からひっそり何日間か観察をした。 道端のヘビのヌケガラをつまみあげたり、葉っぱを拾い集めてみたりと道草をくいながらもなんとか時間通りに学校へ着く姿を見て一安心したものだ。
今年長男は三年生になり、娘が一年生になった。 やっぱり心配で、息子に妹と行き返りを共にするよう言いつけるのだが、これがなかなか聞いてくれない。 やはり男子としては女子と一緒に登校することに少し抵抗がある様子である。 娘は娘で同級生の女の子と一緒に登校したいという。
入学から二月が経過した現在、娘は兄のことなぞ眼中になく、友達と一緒にのらりくらり道草をしながら登校している。 三年後には、次男が一年生だ。
絵本のデータ
- 作者:加古 里子(かこさとし) 絵・文
- 出版社:偕成社
- 発行:1973年5月1刷 2010年4月 66刷
子供がこの本を好きなところ
お菓子を運ぶところ。
きょうはなんのひ?
「おかあさん、今日は何の日だか知ってるの、知らないの?」と言って、まみこちゃんは学校へ行った。 そしてお母さんは、階段にポツンと置かれた手紙を見つけた。
手紙を開くと「ケーキのはこをごらんなさい」とまみこちゃんの字で書かれていた。 そこでお母さんはケーキの箱を見つけ、開いてみると、そこにはまた手紙があった。
このようにして話は進んでいく。
たぶんまみこちゃんは、うちの長女と同じ年ぐらいだ。 女の子は、このような遊びが大好きだ。 そしてまだまだ子供だと思っていれば、案外大人の話がわかっていたり、時折ドキリとされるツッコミをしてくることがある。
まみこちゃんはとても大事に育てられているのだろう。 家庭の温かさがあふれている絵本だ。 つつましく、でも楽しく、毎日を過ごしている家族の光景が、絵本に書かれているこのエピソード以外にも、次々と思い浮がんでくる。
最後のページを見るやいなや、思わず「アッ」と声を出してしまった。 まみこちゃんに一本とられたのと、いつも忘れて怒鳴られていることを思い出しての「アッ」だった。
絵本のデータ
- 作者:瀬田貞二作・林明子絵
- 出版社:福音館書店
- 発行:1979年8月10日発行 2010年4月15日 第85刷
子供がこの本を好きなところ
きれいな箱がでてくるところ。
あらいぐまとねずみたち
食事の済んだアライグマの親子は、近くの小川で食器や皿の洗い物をしていた。 「明日はジャガイモ料理にしましょうね」とお母さん。
洗い物が済んで帰ったら、家の中が荒らされていた。 泥棒が入ったのだ。 豆粒が散らばり、ジャガイモの入った袋も無くなっている。
親子は、道にこぼれ落ちている豆粒のあとを追った。 するとそこには・・・おおぜいのネズミたちが暮らす集落があった。 よく見ると、豆の袋だけではなく、以前なくなったおもちゃや絵本もそこにある。
怒ったアライグマはねずみたちを追いかけた。 「出てこい!」というお父さんの声に、ねずみたちは恐る恐る集まった。 「これまで盗んだものは返します」と、あるネズミは言ったが、でもそうすると、食べるものがなくなってしまうと別のネズミ。
それを聞いたアライグマたちは困った。 そしてお母さんは、ジャガイモを一つずつ持ってくるようネズミに言ったのだった。
「魚をあげれば一日食べさせることができる。 だが魚釣りを教えれば一生食べさせることができる」という名言をある老子が昔唱えたそうだが、まさにこの絵本の話はそれにあたると思う。
絵本のデータ
- 作者:大友 康夫 作/絵
- 出版社:福音館書店
- 発行:-
子供がこの本を好きなところ
ネズミのお家にいる赤ちゃん
ちか100かいだてのいえ
お風呂大好き少女「クウちゃん」は、いつものようにお風呂に入っていた。 するとひょっこり見知らぬ生物が現れた。 なんでも、今度自宅の地下100階でパーティーをやるそうで、そのお誘いに現れたのだ。
クウちゃんは地下100階をめざし、どんどん降りていく。
この家には、10階ごとに違う動物が住んでいる。 1階から10階にはウサギ、11階から20階まではアライグマ。 住人たちと仲良くなりながらどんどん降りていき、地下100階にいた生物とは・・・。
「クウちゃん、帰りは大変だろうなあ」と、内心子供に読み聞かせながら夢のない同情をしてしまったのだが、そんな心配は不要だった。
子供は「100」という数字が好きだ。 「100階建ての家を建てて!」「おにぎり100個食べたい!」「100回言ってみて!」「このお菓子100個買って!」 でも「地下100階」は思いつかなかったなあ。 手前から奥へとページをめくっていく、読みやすいイラストの絵本である。
絵本のデータ
- 作者:岩井 俊雄作
- 出版社:偕成社
- 発行:2009年11月1刷 2009年12月2刷
長女がこの本を好きなところ
セミが住んでいるフロアの機械。
三びきやぎのがらがらどん
三匹のヤギは、草を食べようと山に登った。 途中に橋が架かっており、 その橋の下には、大きなトロルが住んでいたのだった。 まずは一番小さなヤギが橋を渡るのだが・・・。
岩肌が、人の顔や、動物の形に見えるときがある。 子供の頃、近くの山に象そっくりの形をした巨大な岩があった。 この岩は皆から「象岩」と呼ばれていた。 面白いことにこの象岩、別の角度からみると、お地蔵様が立っている姿にも見えた。 だから「地蔵岩」という別名もあった。
この絵本のトロルの肌は土色で、ゴツゴツとしていて、岩にそっくりだ。 橋の下にうずくまっているシーンでは、象岩が思い出された。 たぶん、実写だったらこんな風なんだろうなあと、鮮明にイメージできた。 「もしも象岩が動き出したら」と空想していたことも思い出した。
巨大なトロルの強さを思い知るのか、はたまたヤギたちが奮闘するのか、それは本を開いてのお楽しみ。
辞書を引いてみると、トロルとは北欧の伝承に登場する小さな妖精のことである。 今回のトロルとはかけ離れたイメージだが、地下や洞穴に潜む巨人のことも指す。
絵本のデータ
- 作者:マーシャ・ブラウン絵 / せた ていじ訳
- 出版社:福音館書店
- 発行:1965年7月1日発行 2005年3月5日 第122刷
- 読んであげるなら4歳から、自分で読むなら小学校初級向
子供がこの本を好きなところ
大きいヤギがカッコイイところ。