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2013/03/21 雑記

旅先でのこと。

朝起きると体が鉄のように重たく、頭がマグマのように熱い。 間違いなく風邪だ。 ケータイに手を伸ばし、近隣の病院を探した。

這うようにしてたどり着いたのは、古びた個人医院である。

ドアを引いて靴を脱ぎ、受付へと歩いたが、そこには誰もいなかった。  見回しても診察待ちの患者もおらず、シンと静まり返っている。

「あのー、診てもらいたいんですけど」

ヒョイと顔を出したのは、白髪のお爺さんだった。

受付を済ませ診察室に促されたが、医者は予想通りさっきのお爺さんだった。

「随分辛そうだね。 熱さましをあげるから。 ところで長崎からは何をしに来られたの?」

「色々調べに来たんです」

「この近辺ならばあそこは行った? ガイドには乗っていないけど地元の人間としてお勧めするよ。 外観はさておき内部の構造がこうちょっと普通とは違う感じでねえ」

「先生。 失礼ですが話を聞いているのも辛いぐらいなんです。 なんとか早く処置を願います」

「そうかそうか。 熱さましを出しておくから、これを呑んで一日休んでいればすぐ治まるでしょう。 点滴をするというテもあるがね」

「点滴のほうが効くんですか?」

「うん。 普通飲み薬だとまず口から入って、胃を通って腸で吸収されて、それが体内に回っていくんだけど、点滴は薬を血管に直接注入するからね、効きが早いんだよ」

「ではそれでお願いします」

横になり、左そでをまくりあげてぐったり目を閉じる。 しばらくしてチクリとしたので目を開けば、点滴の袋がぶらさがっていた。

ポタポタ落ちる液体を見ていると、意識が朦朧として眠たくなってきた。 具合悪いながらも、寝に落ちる瞬間はなんとも心地良いものだ。 ひと眠りしていれば点滴も終わるだろう・・・・・・・グー。

「君は胃が強いほうかね!?」

突然の呼びかけに跳ね起きた。「え、ええ弱くはないと思いますが」

「そうか、ならば胃薬は出さないでおくから。 薬の種類が多いと飲むのが面倒だからね」

「・・・はい。 で、あと何分ぐらいかかりますかね点滴」

「そうだねえ、30分ぐらいかな。 急いでる? ならばもうちょっと早めに落とすようにしようかな」

と、先生は点滴が落ちる速度を速める。 これまで「ポトリ・・・ポトリ・・・」だったところを「ポトトトトト」と四倍速ぐらいにした。

念のために点滴の速度を速める事で何か弊害があるものなのかを聞いてみたところ、 「なに若いから大丈夫だよ」 とのことだった。 少し腕がしびれる感じがしたが、15分程で点滴を終えた。

「薬を出すから」と先生は受付に回った。

薬は全部で五種類。 一度に飲む数、頻度、効能を薬袋の裏に手書きしながら、詳しく説明してくれた。 最後の二種については書く場所がなくなったので、口頭のみでの説明となった。

受付の脇には古いお婆さんの写真が立てられており、お花が供えられていた。

熱は嘘みたいに下がった。

“熱” への2件のフィードバック

  1. きみすけ より:

    なんかほんのりと感動した!
    映画見たかんじです!

  2. オイ より:

    古びかたにかなり味がありました。

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