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2011/03/16 雑記

地震

小学校低学年の頃の話。

夏休みを婆ちゃん宅で過ごした。 朝から晩まで外で遊び、採り集めたカブトムシ、クワガタを眺めてはウットリする楽しい日々だった。

昼下がり、いつものように居間でカブトムシの世話をしていたら、突如「ゴオオ・・・」という地鳴りがした。 ひとりで留守番していたものだから気味が悪くなり外へ出てみると、裏山がうなっていた。 怖くなったので中に戻り、虫かごを閉めようとした瞬間、目の前の巨大なテレビが踊りかかってきた。

とっさにかわすことができたのだが、何が起こったのかが分からない。 床は揺れて柱がきしみ、食器棚は倒れこんできて額が落ちた。

這うようにして外へ飛び出した。

すると隣に住むおばさんも同じように外へ飛び出していて、叫びながら手をつないで逃げ出した。 あてがあるわけでもなくただ、その場にいるのが怖かったから、走らざるをえなかったのだと思う。

地面がうねる中、坂をくだっていくと、畑に爺ちゃんがいた。 駆け寄ると「おーっ、どうした」とこんな状況なのにのんきな事を言う。

爺ちゃんは怖い怖いと叫ぶオイたちを近くの納屋に連れて行き、「ここは平屋で頑丈だから大丈夫」と言い残して畑に戻った。 おばさんとオイは薄暗い納屋の中で手を握り合いながら、揺れが収まるのを不安一杯で待った。 揺れてガアガアいう中、だまって立っていた。 気持ち悪い夕焼け空だった。

それ以来、婆ちゃん宅にひとりで留守番することができなくなった。 ニュースによると、震度5.いくらの地震だったらしい。

今回の震災が発生した時、所用で横浜にいた。 3時前だったと思う。 ショッピングモールをウロウロしていたら、かすかな揺れを感じた。 「オヤ、地震かな」と思った瞬間、床から小刻みな「縦」の揺れを感じるようになった。 体感したことのない揺れ方に、思わず足を止めた。

すると次に「ゆらり、ゆらり」という大きな横揺れになりだした。 天井から吊るされている看板が揺れている。 横揺れは次第に大きくなり、並んでいたワゴンが床をすべりだした。 「これはひょっとしてかなり大きい地震ではないか」と思った瞬間、「ズドン」という縦横合わさったような揺れが起こった。 こうして書いている今でもその揺れを思い出し、指が震えるぐらいの恐ろしい揺れだ。 視界がジグザクに動き回り、もはや立ってはいられない。 とっさに目の前の柱にしがみついた。

揺れは収まらない。 近くにお婆さんが座り込んでいたので引き寄せて柱をつかませた。 怖いというよりも、逃げ場も無い、対処しようのない状況の中で、ただ必死に柱にしがみついていた。 あまりにも揺れるものだから、もうこの建物は崩れ落ちると思った。 ここで終わりなんだと思った。 家族の顔や、よく覚えていないが色んなことが頭をよぎった。 覚悟なんて決まらなかった。 くやしい気持ちもこみ上げてきた。

やがて揺れは次第に小さくなりだした。 放心状態だ。 しばらくして警備員が来て、余震の恐れがあるのでしばらくそのまま姿勢を低くしているように指示された。 階段は所々盛り上がり、壁が崩れ、床には亀裂が入っている。 これまでに見たことも無い光景。 呆然としていると、オイがいる場所はシャッターが下りてくるかもしれないので他のところに移動するよう言われた。

兎に角、長崎の家内に連絡をとらなければならない。

「すごい地震にあった」と電話すると、カミさんは泣くように「テレビでね、もう大変なことになっている」と叫んだ。 オイはまだ何も知らなかった。

下の階に避難している最中、また強い揺れがきた。 とにかく、身をかがめる以外何もできない。 祈るしかなかった。

外へ出ると、人であふれかえっていた。 すごい地割れやヒビがある。 家内にそれを伝えようと電話をするが、通じない。 メールも送れない。

ホテルに帰り、テレビをつけた。 言葉にならない。 ただただじっと、何時間も見つめているだけだった。 近くのコンビニへ行くと行列ができていた。 入店制限をしているとのことだった。

30分並んでようやく入れたが、棚はガラガラ。 食品はほとんど残っていない。 ひとつだけ残っていたサバ缶と、サキイカを買って出た。 それにしてもコンビニの店員さんのテキパキとした働きは見事なものだった。

店内外でごった返すお客にたった三人で対応していた。

一人は入口に立ち、店内の混み具合を見計らいながら入店の制限をし、残る二人はレジを打つ。 三人は皆女性、しかもまだ二十歳そこそこだと思われた。 いわゆるギャル風とでも表現できそうな外見をしていて、このような緊急事態にも関わらず落ち着き、しかも的確にお客の列をさばいていく姿に感動した。 三十過ぎてヘコんでいる場合ではないと勇気付けられた。

この日、一睡もすることができなかった。 時折余震があるたびに昼間の恐怖がこみ上げてきた。 じっとしていられなかったので外へ出ると、午前四時だというのにまだタクシー待ちの行列が長く続いている。 警察の方々は、なるべく混雑しないようにと機敏に対処している。

長時間列に並んでいる人、何時間もかけて歩いて帰宅する人、公共機関の方々、誰もがとても頑張っている。

東北地方太平洋沖地震により、被害を受けられた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。 被災地の一日も早い復興を心から、心からお祈り申し上げます。

“地震” への2件のフィードバック

  1. ミジンコ より:

    オイさん、無事で良かった。お父さん不在中、ご家族の方々の心配は大変なものだったと思います。早めに連絡も取れたようで良かったです。今は長崎に戻られたのでしょうか。とにかく良かった。
    こちらでも直後はお店がごった返していましたが、店員さんたちが本当によくやってくれていました。自分たちも被災者だろうに、断水や停電の中、お店に出てきてくれているのは本当にありがたかったです。

  2. オイ より:

    一時はどうなることかと思いましたが、現在長崎に戻っています。 ミジンコさんもご無事なようで何よりです。 停電等ニュースを聞いていて心配ですが、くれぐれもお気をつけになられてください。 お祈りしております。

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