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2007/04/28

豚骨の入った大鍋

honebuta

あっさりとしていて、和風だしの効いた豚骨ラーメンを食べさせてくれるお店があり、数年来のお気に入りである。

その店の支店が、よく行く知人宅のすぐ近くにあるものだから、しょっちゅう通っている。 オイ一家はもはや顔なじみで、入店すると、すぐに子供用の椅子を持ってきてくれるというサービスの徹底振りにはいつも頭がさがり、子供にはアメちゃんをくれたりもする。 もちろんラーメンは美味しいし、ともかくいい店だ。

この前、いつものように知人宅でたらふく飲んで、帰りにそのラーメン屋へ直行した。 満面の笑みで出迎えてくれるスタッフ。 すがすがしい。 その笑顔にチップを払いたいくらいだ。 「チャーシューメン3杯でよろしかったですかね」なんてこちらが注文せずとも覚えてくれている。 「はい、その通りです。 3杯お願いします」と、返事をする。

「いやぁー今日も楽しかったね。 ラーメン食って帰ろうな!」と、息子らと雑談をする。 子供用の取り皿がすでに運ばれてきており、その器を前に、レンゲを持ってラーメンを到着を待ちわびている息子。

「うーん、今日なんかちょっと遅いな」

チャーシューメン3杯が、なかなか出来上がらない。 いつもならば、ものの5分で運ばれてくるそれが、今日は10分待っても来ない。 超満席ならば話はわからないでもないが、あいにくガラガラである。 どうしたんだろう。 「ラーメンまだー」と息子。

しびれをきらしたオイは、反り返って厨房の様子を確認する。 なるほど。 いつも厨房内には3人のスタッフが常駐しているのだが、今日は一人しかいないでないの。 しかも、その彼は初めてみる顔である。 新人なのか。

新人風スタッフは、別にテンパってる様子もなく、もくもくと作業に没頭しているようである。 店内の客は、オイ家と、その直前に入店したカップルのみである。 どうやらそのカップルのラーメンもまだ運ばれていないらしく、不満げに厨房を覗き込む男。 少しオイと目が合い、言葉は交わさなかったが「なんか今日遅いっすよね」という互いの心が通じ合ったような気がした。

15分待った。 もはや前代未聞の大騒動である。 なんで2組の客しかいないのに、ラーメン作るのがこんなに遅いのだ。 おかしい。 店員がひとりしかいないからなのか、否、一人でも十分対応できる客数のはずである。 「ムギーッ」と歯軋りし始めた頃、ようやくラーメンが運ばれてきた。 「お待ちどうさまでした」ほんとだよ(心の声)

ようやく到着したチャーシューメンに、オイ一家の鼻息は荒い。 4人でいっせいにススリコム!「あれ?」

麺が、ニュルニュルに、柔い・・・・・・・・。 「麺柔め」なんて注文した覚えはない。 普通の固さでよいわけだが、柔すぎる。 まるで茹ですぎたソーメンのようなのど越しである。 明らかにこれは失敗だ。 いつもより3倍遅く運ばれたラーメンは、いつもよりも3倍麺が柔かったのだ・・・。

厨房にいるたった一人のスタッフにしてみると「麺の固さ普通」というのは、この固さになるのか。 解釈のしかたは人それぞれだが、これはあまりにもヒドイ。 柔いなんてもんじゃねぇ、これは失敗作である。 一から作り直せ、責任者でてこい! と、おもわず取り乱しそうになったが、まあよい。

「替え玉、バリ固でお願いします」

普段バリ固なんて注文したことはない。 普通で一向に構わないのだが、今回は特例だ。 対見知らぬスタッフ用の策なのである。 さあ、オマエのバリ固は、一体どのくらい固いんだ。

さっきから言うように、店内の客は2組だけである。 ガラガラだ。 そしてオイは替え玉を注文した。 だが、いくら待っても替え玉が出てこない。 バリ固ならば、ほんの数十秒茹でただけで完成のはずである。 それがどうしたものか。 来ないのである。 5分。 8分。 10分待って、替え玉が到着。 さすがにオイも笑ってらんない。 「ちょっと遅すぎやしませんか?」と抗議すると「本当に申し訳ありませんでしたー」という。

肝心の替え玉の状態はどうか。 ニュルニュルである・・・。 バリ固を注文したハズなのに、柔柔の麺が運ばれてきたわけだ。 これは明らかにオイに対する挑戦であり、ムカツイタオイは、替え玉をひとくちススリ、席を立ち、厨房のスタッフへ向かう。 「あんたねえ、さっきから麺が柔すぎといういか、とても食えたものじゃないんだよね。 なに考えてんの?」

突然のクレームに、びっくりしたスタッフは、申し訳なさそうに「いやぁー、一応言われたとおりにやってるんですけどね、すみませんでした。」と返事をする。

このラーメン屋の社長は知ってる。 まだ店がひとつしかないときからの常連だからだ。 当時は社長自らが極上のラーメンを作り、オイはそれをススリながら今日まで生きてきたわけだ。 とにかく社長、この厨房スタッフは素人でしょう。 これじゃ、金とれませんよ。

もはやラーメンと呼ぶに値しないコレを食べることを止めたオイ家は、半分以上を残して店を出た。 もうね、絶対こんな店行かんもんね。

所かわって某ラーメン屋。 この店も豚骨ラーメンだ。 某有名店で修行したという大将が一生懸命ラーメンを作っている。 いかにも豚骨ラーメンだというスープの臭味が、オイは大好きだ。 しかし嫁は、キライってほどではないけれど、その臭味がニガテなのだ。 前出の行きつけのラーメン屋が柔々の麺を出すようになった以上、新たな行きつけの店を開拓しなければならないのだ。

久しぶりに入ったこの店には、若干の変化が見られる。 店内のBGMは演歌からジャズに変更されている。 ラーメンが運び込まれる。 あれ、ラーメンも変わっている。 どんぶりがおしゃれになり、下に受け皿がつくようになっている。 チャーシューの配列も以前とは違う。 そしてなにより、スープの臭いがしない。

スープをひとくちススルと、濃厚な旨味があり、以前と変わらぬものだ。 しかし、臭味がまったくなくなっている。 隣の嫁を見ると、臭味が消えているのが嬉しいのか、スープをススリまくっている。

スープの臭味を取り除き、万人向けにしたのであろうか。 ともかく、この店うまいので、今度からこっちに通うようにしようと、嫁との協議で可決。

とまあこのように行きつけのラーメン屋の変化があった。 後のほうの店の、豚の背脂カリカリ揚げをラーメンにトッピングするというのが気に入り、自宅で試してみることにした。 ゲンコツを大量に買い込み、煮る。 下茹でをいつもより長時間行うことにより、わりとあっさりめに作ってみようかと思う。 アクを丹念に取りのぞかねばならないので、しばらくは煮えたぎる大鍋の前につきっきりになる。

掲示板で教えていただいた『ラブレーの子供たち』を手に取り、読みふける。 昔、作家の老舎という人がおり、その人がどうのこうのという話が書かれてあった。 「はて? この話、どこかで読んだことのあるような気がするな」

アクをすくいながら6分ぐらい記憶をたどると、開高健の『最後の晩餐』で読んだのだということを思い出した。 ちょこっと引用してみる。

重慶か成都か、どこかそのあたりの古い町に、何でも、部屋一つぐらいもある巨大な鉄の釜をすえつけた家があり、この百年か二百年、一日として火を絶やしたことがない。 野菜だの、肉だの、豚の足だのを手当たり次第にほりこんで、グラグラと煮る。 百年、二百年そうやって煮つづけてきたのだ。

客はそのまわりに群がって、茶碗にすくって食べ、料金は茶碗の数で頂く。 その釜はどんな色をしているのか。 汁はどうなっているのか。 何をほりこむか。 いつ、ほりこむか。 野菜は。 肉は。 どんな客が、どんなぐあいにたったり、すわったりするか。 何杯ぐらい食べるか。 何の話をしながら食べるか。 そういうことを老舎は微に入り細にわたり、およそ三時間近く、ただその話だけをした。 その話ぶりにはみごとな生彩があった。

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