チキンラーメンのススメ

tikira

たまごポケットはあまりアテにしていない。

チキンラーメンを作る際には生卵を割り落とすのが常識ではあるが、どんぶりに乾燥したチキンラーメンを入れ、そのたまごポケットと呼ぶには若干浅すぎる感があるたまごポケットに、新鮮な生卵をそっと割落とす。 そっとでなければダメである。 乾燥した麺の上に勢いよくたまごを割り落とそうものならば、出来上がりの見てくれの大きなポイントとなる大事な卵黄を潰してしまうことになりかねない。 想像以上に、乾燥したチキンラーメンは、トゲトゲしているものである。 ちなみに、卵は卵黄がモッコリとした新鮮なものが望ましい。

チキンラーメンをどんぶりに入れて、生卵をそっと割り落とした。 さあ、あとはお湯を注ぐだけである。 簡単極まりない。 しかし、ここで気をぬいてはいけない。 まず第一にお湯を注ぐ分量を間違えると、大変なことになる。 チキンラーメンのチキンラーメンたるゆえんであるチキンスープは、麺に染み込んでいるものである。 お湯を注ぐことにより、麺からにじみ出てくるものである。 で、あるからして、お湯の注ぎすぎに細心の注意を払わねばならない。 お湯を多く入れすぎたら、おじゃんである。

お湯を注ぎすぎてしまう原因としては、第一にどんぶりのサイズが考えられる。 チキンラーメン本体に対して、あまりにも大きすぎるどんぶりで製作を開始してしまうと、ついどんぶりのサイズにあわせてお湯を注いでしまう。 要は、どんぶりの7~7.5部目あたりまでお湯をそそいでしまう習慣が、日本人の体に染み付いているのである。 お湯を入れすぎてしまって味が異常に薄いチキンラーメンを一口すすってみたときのあのわびしさは、トラウマになりかねない。

したがって、どんぶりのサイズは、その乾燥した円形のチキンラーメンが、キツメに入るぐらいの若干小ぶりなサイズのどんぶりが望ましいということになる。 これにお湯をヒタヒタ(日清推奨は400ml)に注ぐのが、美味しく食べる秘訣である。

次に。 お湯の温度も非常に重要である。 小腹がすいてどうしようもないのでチキンラーメンを食べると決めて、どんぶりに麺を入れ、お湯を用意する。 お湯を沸かす時間すら待てないという状況なので、ポットのお湯で妥協してしまう。 これが間違いの始まりである。

お湯は、グラグラたぎったものを使用しなければ、チキンラーメンをおいしく作ることは困難である。 そもそもどんぶりというものは、使用する前は冷たいものだ。 これに湯を入れ、チキンラーメンをふやけさせて食べるわけだ。 注ぐ湯の温度が低ければ、まずその熱は、どんぶりにとられてしまう。 よってフタをして3分待った後のチキンラーメンは、湯気すら立たないということになる。 さらに、これに生卵を割り落としているならば、事態はますます深刻である。

チキンラーメンの醍醐味は、3分待って、フタをあけた瞬間に立ちのぼる湯気の合間から見え隠れする黄身の微妙な半熟具合、白身のほどよい煮え具合にあるといっても過言ではない。 想像しただけでも即、作り始めたくなる衝動にかられるぐらい、魅力的な光景である。 しかし、お湯がぬるいと、こうはうまくいかない。 たった3分ぐらいでは、白身は冷たい生ままである。 その白身が、出来上がったチキンラーメンの温度を下げてしまっている一要因であることはまず間違いない。 だからといって、再度フタをかぶせ、白身が煮えるまで待ってみようかとする。 だが人生そんなに甘いものではない。 白身は煮えていないは、スープはぬるいはの、最悪のチキンラーメンを作りあげてしまった罪を、日清食品創業者の安藤百福氏に謝罪するべきである。

こうならないように、お湯はグラグラとたぎったものを用意しなければならない。 ポットのお湯を使用する場合は、再沸騰ボタンを必ず押すということは当たり前である。 しかしできれば、やかんに水を入れ、猛烈な火力で熱し、グラグラとたぎらせた湯を、チキンラーメンの上から注ぐというのが理想である。

熱湯も、ただどんぶり内に、入れ過ぎないように注げばそれでよいかといえば、そうではない。 お湯を注ぐポイントも重要なのである。 卵は、その浅いたまごポケットに割り落としているハズである。 そのチキンラーメン上の、生卵の白身部分にお湯をかけるようなつもりで、白身に添って円形にお湯を注ぐのが理想的である。 こうすることにより、グラグラの湯が直接かけられた白身は、一瞬で白くなり、フタをする前から、ちょうどよい白身加減を作り出すことができるというわけである。 しかしたまごの煮え加減については、それぞれ好みがあるわけだから、その辺は自分好みにいつでも作り出せるように訓練が必要である。

湯を注いだ丼にかぶせるフタはいうまでもなく皿が定番的であり、丼、皿間にスキマがないということは当たり前である。

キッチリ3分待つか、それとも2分で切上げて、「バリカタ」の風味を楽しむのかも各自お好みである。 刻んだあさつきを散らしたり。胡麻油を少々たらしてみたりという小細工も楽しい。 まず始めに半熟の黄身を一口でほうばるのか、最後まで大事に半分スープに沈めておくのかも決定権はあなたにしかない。 そして最後に、できあがって3分以内に食べてしまうのが、チキンラーメンにとっての礼儀であかと思われる。

※先日、チキンラーメンを久しぶりに作ってみて、大失敗をしました。 腹が減りすぎていて焦りもあったのですが、ポットのお湯にて、大きめのどんぶりに、乾麺の上下を間違えたのでたまごポケットは裏側に、よって卵は脇に割れ流れ、できあがりの光景が寒々しさといったら、目も当てられないという状態でした。 悲しくなったオイは、自戒の念を込めながら、今回のメモを残しておこうと考えた次第です。(ちゃんとした作り方は、チキンラーメンの袋に書いてあります。 ご確認ください。) たまごポケットについては、できればもう少し深いほうが機能的ではあると、個人的に思うのですが。

安藤百福さん死去

2007年1月5日、急性心筋梗塞のため大阪府池田市の病院で死去された。 「食足世平」という自らが作り出した四字熟語には「食を通じて世の中の役に立つ」という思いが込められていたのだそうな。 ご冥福をお祈りいたします。

日清 チキラー島:音がなります。

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